４月末にようやく成立した第一次補正予算については、
5/1の私のブログ「的外れで不十分なコロナ対策・第一次補正予算」
で述べたが、危機感が全く感じられない内容だった。

野党だけでなく与党内からも多くの疑問の声が出て、今回の第二次補正予算の策定となった。

端的に言えば、前回の補正予算よりはいい。
しかし、不十分である。

まず、第一次補正予算は、明らかに、平時モードの予算が積み上がったものだった。
官僚は政策立案のプロではあるけれども国民とはつながっていない。
今回のような非常時に、世の中がどのような状況になっているかは、霞が関の高級官僚には分からない。
こういう非常時は、政治家は、官僚任せにしてはならない。
議員が仕事をしなくてはならない。

政治家は、選挙区を持っている。
どんな議員も、地元から生の声が入ってくる。

今回、与野党問わず、議員立法や要望のとりまとめなど、動いた議員はしっかり動いている。
国民の声を聞いて、しっかり仕事をする議員なのか、そうでないかは、議員間でもはっきりしたと思う。

前回、私が予算が全然付いていないと指摘した主な項目は、
テナント家賃補助、医療従事者への給付金、医療体制整備のための補助、学生支援などだ。
これら分野には、今回は予算が付いたが、中身はいまだ問題だ。

テナント家賃補助は、様々な要件が付けられ、
これではもらえる人は、そんなに多くないだろうし、もらえるまでかなり時間がかかるだろう。

また、医療機関は、９割が赤字に陥っているとのこと。
小出しではなく、医療機関へ抜本的に援助の強化をしなければ、
第二波第三波が予想される長期戦に、わが国の医療体制は耐えられない。

学生支援策も増額はされたものの、
ざっと計算しても、おそらく困っている学生の半分くらいしか給付を受けることができないだろう。

今後、何をやるべきか。

国際通貨基金(IMF)の予測によると、今年の成長率は、
日本はマイナス5.8%とリーマンショック後の09年（同5.4%）を超す景気悪化。
米国は8.0%減で、第2次世界大戦の特需が消えた1946年（11.6%減）以来、74年ぶりの大幅なマイナス。
英国は10.2%減。イングランド銀行（英中銀）のデータと比較すると、大寒波があった1709年（13.4%減）以来、311年ぶり！という記録的なマイナス成長という状況だ。
為政者は心して中身ある経済対策を打たなければ、大変な事態となる。

まず、今の各制度の複雑な仕組みは、簡潔なものに改めるべきだ。
雇用調整助成金はじめ、予算を組んでも、お金がなかなか行き渡らない。

また、第三次補正予算は早急に組む必要がある。
ひとり親の貧困家庭には給付が行われることになったが、
実は、子供の貧困問題は、ひとり親家庭に限らない。
どんな社会状況でも、子供や若者の機会の均等ははかられるべきだ。
また、一人10万円一律給付の陰でボツになってしまった、困っている方への30万円支給は、実施するべきであろう。
また、業績悪化で苦しむ多くの企業への金融支援の体制も不十分だ。

中長期的な問題としては、
「新しい生活様式」を実行したら、
飲食店も、映画館も、ライブハウスも、満員にはできず、
単位面積あたりの収益率は劇的に下がってしまう。
固定資産税のあり方なども、大きな見直しが必要だ。

東京一極集中も、本格的に見直し、かつて田中角栄総理が打ち出した、「均衡ある国土の発展」のような政策をもう一度打ち出す必要がある。

経済の再構築のための業態転換や、テレワークの推進には、
公共投資や民間の設備投資は必須だ。
いかに的確に、投資を誘導していくか、政府の手腕が問われる。

海外と行き来ができない状況なのに、供給網の更なるグローバル化だの、インバウンドの更なる促進など、今までの延長線上で議論を行っている今の政府の姿勢は改めなければならない。

これからは、国内で、各地域で、物理的移動を少なくしながら、いかに経済を回していくかを考える時代だ。
これを機に、あるべき形に、日本社会を新生させなければならない。

なお、現在の支援策の一覧は、このサイトが分かりやすい。
ご参照いただきたい。
「新型コロナウイルス感染症に伴う各種支援のご案内」（内閣官房対策本部）