予算関連法案反対討論 -財政は国民のためにあるべき-

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3月2日、令和3年度予算とそれに関連する法案(国債発行、税制改正など)の採決が行われました。
私は、国債発行に関する法案の反対討論に、会派を代表して立ちました。

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動画はここのページをクリックしてください。

討論の原稿はこちら。
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特例公債法案反対討論(2021年3月2日本会議)

立憲民主党の落合貴之です。
立憲民主党・無所属を代表し、「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案」について、反対の立場から討論をさせていただきます。

まず、冒頭、国有財産のあり方を大きく揺るがした森友学園問題で、公文書の書き換えを命じられた経緯を詳細に綴ったいわゆる赤木ファイルを隠し続けている財務省、国の根幹である国会の国政調査権を大きく傷付けている財務省に、強く抗議をいたします。

さて、今回の特例公債法案は、赤字国債の発行を認めるもので、昭和50年度から、発行しなかった数年間を除き、毎年、年度毎に審議がされてきました。
しかし、11年前の参議院選挙で与党民主党が大敗し、衆参の多数会派にねじれ現象が生まれたことから状況は変わってきました。
その翌年は、東日本大震災があったにも関わらず、特例公債法案が夏まで通らず、そしてそのまた翌年は、当時の野党自民党が11月まで法案を通さず、赤字国債が発行できずに、予算の執行にも支障を及ぼす事態となりました。
そういったことから、与野党の三党合意により、当初は4年で束ね、特例公債法案を通すこととなりました。
しかし、その後、国会のねじれが解消されたにも関わらず、5年毎にと、なぜか更に長い年に渡り束ねる法案が出され続けることとなってしまっています。

今、衆参はねじれていません。両院共に与党が大多数を占めています。
その中で、毎年国会で審議をしない意味はあるのでしょうか。
国会のチェック機能の弱体化を国会議員達が自ら進んで決めるべきではありません。

また、5年という期間は、衆議院の任期より長い。
憲法第60条では、「予算に関する衆議院の優越」が規定されています。
すなわち、衆議院には、予算について、特別の立場が認められ、責任が課されています。
特例公債法案は、予算と密接に関係する法律案であるにも関わらず、衆議院議員の任期4年を超える期間に渡り白紙委任をする法を制定することも疑問です。

国家が行う財政活動は、国会で審議、決議されなくてはならない。
国会や国民がしっかり監視をするべきであるという財政民主主義の原則は重要です。
予算、税制、国債発行を同じタイミングでその都度議論する。
そしてその過程を国民に示していく。
これがあるべき姿ではないでしょうか。

なお、この法案には、「財政の健全化」が明記されています。
持続可能な財政を実現することは、国家を運営する上でも、国民生活を安定させる上でも重要なことです。
しかし、単に歳出額を減らすことと、税率を上げることだけで、持続可能な財政運営が実現できるのではありません。
特にリーマンショック以降、先進国においても、格差の拡大が大きな問題となっています。
そして、このコロナ禍がやってきました。
各国が経済の回復を模索する中、K字回復が起きてしまうのではないかということが危惧されています。
持てる者の経済状況だけが回復し、持たざる大多数は更に没落してしまう。
もしこうなってしまえば、国民の担税力は弱まり、持続可能で健全な財政は実現することはできません。
このK字回復にはさせない。
それは、政治にしかできません。
財政こそ、格差拡大を止め、健全な経済を実現するのに必要な手段です。

これまで世界各国に財政規律を押し付けていたIMF国際通貨基金も、財政支出の拡大が今は重要であるということを言い始めました。

わが国は、昨年度は約90兆円の赤字国債を発行しました。
今年もそれなりの額の発行をすることとなることでしょう。
その中で、財政は、どのような使われ方をされているのでしょうか。
経済対策や災害対策と言いつつ、一部の与党政治家の利権のためというような項目が並ぶ予算。
このために赤字国債を費やしていていいのでしょうか。

政治家の利権ばかりに使っていてはいけない。
財政は国民のために使い、日本の良さであった分厚い中間層、これを復活させなければ、国民の担税力は上がりません。
自律的な経済の好循環も生まれません。
健全な財政も実現できません。
国債を発行した予算は、国民の生活、国民の将来のために使わなければなりません。

また、コロナで悪化した財政の穴埋めのために、いずれは消費税の増税をという話まで出てくる気配です。
格差拡大の是正が大きな課題であるにも関わらず、逆進性ある消費税ばかりになぜ、重きが置かれるのでしょうか。
既に税収に対する消費税の割合は、消費税・付加価値税率の高いヨーロッパ諸国と同レベルになりつつあります。
税率が低くでも、税収に対する消費税の割合が高い。
つまり、他の税を取っていないからです。

年収1億円を超えたあたりから、どんどん負担率が下がる日本の税制。
金融所得課税は国際レベルだと答弁していますが、お金持ちほど顕著に負担率が減っていく先進国などありません。
欧米各国の年収別の負担率をよく見てください。

また、世界的な税率下げ競争をやってきた法人税は、国際協調の下、わが国が先導し適正な課税を実現していかなければなりません。
特に、GAFAをはじめとする、巨大IT企業への課税は、なかなか進みません。
コロナ禍で、百貨店の閉店が相次いでいます。小売業は、デジタルプラットフォーマーにどんどん飲み込まれています。
他の分野でもデジタルプラットフォーマーがどんどん役割を増しています。
日本の中小企業の多くもデジタルプラットフォーマーの傘下に入りつつあります。
わが国の経済の根幹を握りつつあるこれら企業に、意見も言えず、課税もできない。
これでは、経済政策における主権もいずれ無くなってしまいます。
財政も成り立たなくなります。

また、この数年の間違ったコーポレートガバナンス改革や間違った働き方改革などによっても、中間所得層はどんどん破壊されてきました。
 
予算、国債発行、税制、重要法案は、国民の生活のため、この国のために、その都度国会でしっかり審議をするべき。
ねじれ国会でもないのに、5年間もの長い期間にわたり、重要な国債発行について白紙委任するような内容となっている本法案には、賛成できません。

今こそ、誰のために政治があるのか、それをよく考えるべきです。
国会のチェック機能を自らの手で弱体化させるべきではないということを申し上げ、反対の討論とさせていただきます。
ありがとうございました。

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