グローバル化と「閉じた経済」

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≪グローバル都市での体験≫
昨年末に、オーストラリアのシドニーを訪れた。
オーストラリアは計画的に移民政策を続けてきた国だ。
多文化共生が長い間意識されてきた。
外国人でも生活がしやすい、行動がしやすい仕組みがいたるところで確立されている。

シドニーの空港に降り立つと、まず入国審査がある。
そこは全て自動化されている。
パスポートの写真の部分を機械の上に置いてくれと、モニターがアニメーションで指示してくれる。
言葉が分からなくても、そのアニメーションが分かりやすく説明してくれる。
そのアニメーションの通りにやり、パスポートが読み取られると、その機械は、日本人のパスポートだと認識し、日本語音声で説明を始める。
券を取って、前に進めと。
そして、言われた通り前に進むと、次の機械による写真撮影。
これで、入国審査は終わりだ。
係員と話をすることもなく、そして機械も分かりやすいので戸惑っている人は見当たらない。

その空港は、地下鉄と直結していた。
切符はタッチパネルで購入できる。支払いには日本のクレジットカードが使える。
そして、自動改札機を通る。

地下鉄を降りてから、お腹がすいたので、マクドナルドに入った。
注文は対面のレジではなく、その手前にあるタッチパネル。
商品の写真にタッチすればいい。
カード払いをすると、番号の書いたレシートが出てくる。
その番号を店員さんが呼び、私は注文したものを取りに行く。

飛行機を降りて、地下鉄に乗って、ご飯を食べ終わっても、一回も、オーストラリア人と会話をしていない。
その後、仕事でやっと、人と話をすることとなる。

ちなみに、同様に移民の多いカナダでも、入国審査も、切符を買うのも、空港でのチェックインも、タッチパネルは日本語表示を選ぶことができた。

世界一律に、タッチパネルで自動でカード払い。
その国の言葉がよく分からなくても、それなりに何とかなる。

多文化共生を目指している街とは、分かりやすさと均質性を確立した街だ。

≪均質化のデメリット≫
世界は寿司ブームだ。それなりの街には、スーパーでも寿司を売っているし、回転寿司もある。
世界中どこでも寿司を食べることはできる。
東京にも、外国人に人気のタッチパネルで注文できる回転寿司があるが、世界各都市の回転寿司屋は、東京のそれと大して変わらない。

この数年で本当に世界の「フラット化」が進んだ。
私でも、大都市であれば、戸惑うことなく生活ができる。
コンビニで売っているカップラーメンもお菓子も大体はおなじみの味だ。

しかし思う。
その裏返しに、20年前の私の学生の頃と比べ、どこの都市も、そこにしかない特性は無くなってきている。

シドニーでは、カンガルーやワニの料理を出すお店がたくさんあるのかと思ったら、探すのに一苦労で、やっとのこと一軒見付かった。

アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド。
これら新大陸の国々は、グローバル社会建設の先陣だ。

グローバル経済は効率を求める。
いつでもどこでも均質な物が手に入るようになる。
誰がやってもそのサービスが提供できるようになる。

しかし、例えば寿司は、世界どこでも食べられるようにすれば、当然味の質はおちる。
そして、熟練の職人を雇わないので、寿司屋の賃金は、これまでの寿司屋より確実に低くなっていく。

この質の均一化を目指すことで、質が落ちること。誰でも作れてしまうことで、技術に対する評価が下がることのデメリットは良く考えなくてはならない。
日本でも、職人さんの握る寿司屋はどんどん減り、外国人が今は高く買ってくれているこの伝統的技術の継承は難しくなっていくだろう。

≪我々が働いた成果はどこにいくのか≫
また、グローバル経済の二つ目のデメリットは、その土地で上がった利潤が簡単に国境を越えてしまうことだ。
個人商店、中小企業の仕事は、巨大企業にどんどん吸い取られていく。
そして、その土地の消費者の払ったお金はどこへ?
近年は、働いている人達に利益が分配されていないという労働分配率の低下だけでなく、その国や地方で税収も上がらないことが問題になってきている。

経済のグローバル化はいい効用もあるが、それに伴って起こる、フラット化、経済圏の巨大化、経済プレイヤーの巨大化により、消費者の払ったお金、労働者が働いた成果は、簡単に海外に飛んでいってしまう。

≪「閉じた経済」の必要性≫
「国益のために国を開く」政策を行うのであれば、同時にもっと強力に「閉じた経済圏」もつくらないと、国内の産業、その地域の産業は急速に衰退していくだろう。
単層的な経済システムではなく、グローバル経済にも対応し、なおかつグローバル経済に影響されない経済循環も併せ持つ複層的なシステムをつくらないといけない。

その地域毎の自立した経済循環、そして、隣接した地域同士の連携。
東京や都道府県の県庁所在地だけでなく、更に細かい網目を持った、小さくて多くの連鎖した自立的な経済圏を意識的に作っていくことが、今、重要だ。
例えば、生活者は必ず食べる。必ず電力を使う。
農業やエネルギー産業は各地域で自立化しやすい。

経済のグルーバル化が加速している今、「閉じた経済圏」を本気で構築していかなければ、我々一人ひとりの仕事は、国際的な大資本企業の下請けとなり、富は海外に吸い取られていくことになるだろう。
政治は、責任を持って、経済システムを、時代に合ったよりよいものに作り変えていかなくてはならない。

無原則にグローバル化の波に乗るのではなく、グローバル化の大波の中で、主体性を維持することを考えるべきだ。それでないと、国民の生活は守れない。

例えばヨーロッパのいくつかの国や地域ように、地域の独自性、個々の独自性を維持する努力をしていかなくてはならない。
そうしなければ、我々はただの安物になってしまうのだ。

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