平成30年度予算反対討論

2月末日に、衆議院では、本年度予算案の採決が行われました。
私落合貴之は、会派を代表して、本会議にて、反対討論を行いました。

「本予算反対討論原稿(2018年2月28日衆議院本会議場にて)」
 立憲民主党の落合貴之でございます。立憲民主党市民クラブを代表し、政府提案の平成30年度予算案に反対、そして、立憲民主党市民クラブ、希望の党無所属クラブ、無所属の会、日本共産党、自由党、社会民主党市民連合が共同で提出した組み替え動議に賛成の立場から討論をさせていただきます。
 
 今国会は、安倍総理ご自身が「働き方改革国会」と名を打ってスタートしました。その目玉である、働き方改革関連法案についても、今回の予算委員会で議論が行われました。そして、3年前から提示していたデータが間違っていた。裁量労働制で働く人達の方が、一般的な労働者よりも労働時間が短いというデータもあるようなことを説明してきた。しかし、野党が指摘をする度に、間違えの箇所がどんどん増えていく。厚生労働省の予算は31兆円にも及ぶんです。それを司る厚労省がこのありさまで、しっかりと説明もせず、間違えだらけのデータを撤回せず、こんな滅茶苦茶な状況で予算の強行採決。そして何より、今日の予算委員会質疑で、総理ご自身が「実態を把握しなければ、政府全体として、前に進めない」と答弁したにも関わらず、働き方改革関連予算も入っているこの予算案の強行採決。こんなことはなりません。強く抗議をいたします。
 我々立憲民主党は、安倍政権によって壊されつつある、この国の立憲主義、民主主義を守るため、今の日本の政治の流れを変えようと、昨年秋に結党されました。
 
 一方、昭和30年に結党された自由民主党の立党宣言は、こう始まります。
「政治は国民のもの、即ちその使命と任務は、内に民生を安定せしめ、公共の福祉を増進し、外に自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立するにある。」
果たして、今の政治が、この理想と共に歩んでいるでしょうか。
 
 アベノミクスが未曽有の好景気をもたらしていると総理はおっしゃっています。しかし、肝心な国民一人一人の経済状況を見れば、決して、好調であるとは言えません。
 第二次安倍政権の始まった2012年と比べると、実質賃金は下がっています。貯蓄ゼロ世帯は増え3割を超え、エンゲル係数も上がっています。消費支出も4年連続で下がっています。これでなぜ、未曽有の好景気と言えるのでしょうか?総理にとって、国民一人一人の経済状況は関係ないのでしょうか?自民党立党宣言にある「民生を安定せしめ、公共の福祉を増進する」。この重要な視点はどうなってしまったのでしょうか?
 今、国民一人一人の生活を立て直し、いきすぎた格差を是正しないといけないにも関わらず、例えば生活保護のひとり親家庭を対象にした母子加算も引き下げる。これでは、格差は固定化されてしまいます。
 国民一人一人に寄り添った予算こそ、今、必要なのではないでしょうか?小・中学校の給食費無償化、高校無償化、保育士や介護士等の給与の引き上げ。こういった措置をとるべきです。
 
 また、我々は、今回の予算委員会で、外交防衛の問題も取り上げてきました。
 沖縄で度々、米軍機の事故が起こる。その度に、政府はどのような対応を取ってきたでしょうか?米軍基地にまつわる様々な問題もしかり。この国に、主権はあるのでしょうか?
核の問題もしかりです。オバマ大統領が、広島を訪れ、核なき世界を提唱すればそれに賛同し、トランプ大統領が、その方針を180度変え、核は使いやすくするんだと宣言したら、それにも無条件に賛同する。この国の主体性はどこへ行ったのでしょうか?自民党の立党宣言にあった、「自主独立の権威を回復し、平和の諸条件を調整確立する」という理想は、もう捨ててしまったのでしょうか?
 米国からの防衛装備品の調達(FMS)のあり方は、会計検査院からも、指摘をされています。どこかの国のためではなく、この国のために防衛予算は使うんだ。その姿勢を、我々政治家は忘れてはならないのではないでしょうか?
 
 世界の現状を鑑み、この国の形は変えていかなければなりません。
 東京一極集中、中央集権型から、地域主権、多機能分散型に変えていかなければなりません。地方への一括交付金を復活させるとともに、徐々に財源を地方に移し、また、我が国の農業が持続可能な形で発展していけるよう施策を打っていかなくてはなりません。
 そして、経済の根幹である電力・エネルギーも、一極集中型から、多機能分散型へと変えていかなければなりません。中途半端に続け、税金や電気代を通して、国民に多額の負担をさせている原発は、きっぱりやめるべきです。政府は、再エネにお金がかかることを強調していますが、原発には、いくらのお金をつぎ込んできたんでしょうか?原発を止め、いつまでたっても実現しない核燃料サイクルもきっぱり撤回するべきです。
 
 政治や行政への国民からの信頼も取り戻さなければなりません。
 昨年の予算委員会から質問が続いている森友問題。各紙世論調査を見ても、一年たっても、国民の多くは、総理の説明に納得していません。それはなぜか。説明するべき人が、国会に説明に来ていないからです。肝心なキーパーソンが国民に説明していないからです。理財局長であった佐川氏は、国会で虚偽とも捉えることができるような答弁を繰り返し、要求された書類も出さず、つじつまが合わなくなってきたところで、理財局長から離れ、国会に出てくることはなくなりました。
 そして、よりによって、国民に正確な申告を求め、正確な書類の提出を求める国税庁長官となりました。この人事を「適材適所」と胸を張る総理の姿勢。これは、税金を払う国民をバカにしているとしか思えません。
 これだけ大きなニュースになっているにも関わらず、国民の税金がどのように使われているのか、国家の資産、国民の資産が関わる大きな問題に、説明責任を果たさない。そして、国民に対しては、税を厳しく徴収する。これでは、政治に対する国民の信頼は取り戻せません。総理は、しっかりと説明責任を果たすべきです。佐川さん、そして常にこの問題に名前がとりざたされてきた、安倍あきえ総理夫人の国会招致を止めるべきではありません。
また、加計問題や、スーパーコンピューターの補助金の不正受給の問題は、いずれも、総理と関係の深い方が、疑惑の中にいます。
 長期政権が続く中で、総理のお友達が優遇され、国家の政策がゆがめられていないか。総理は、率先して、この国のリーダーとして、疑惑を晴らし、また、「安倍政権下では絶対に不正は許さない」、「不正は厳しく罰する」と、きっぱり言うべきではありませんか?
 
 総理は、憲法9条に3項を追加することを提案されています。憲法9条は、戦後憲法の代表的な条文です。この9条を乱暴にぶち壊すことは、戦後憲法をぶち壊すことに他なりません。
 我が国は、遠くない過去に、300万人以上の国民が命を落とす事態を引き起こしてしまいました。国土は焦土と化しました。その焼け跡の中から、国民は立ち上がり、自分達の生活を良くしていこうと力を合わせて働いてきました。権力が暴走してしまった経験をもとに、立憲主義をより強める戦後憲法も制定されました。昭和30年前後は、戦後憲法を変えるかどうかをかけた総選挙も行われてきました。その中で、国民が、自分達の手で、戦後憲法を大切にする選択をし、新しい日本を一歩一歩前に進めてきました。薄氷を踏みながら、一つ一つ積み上げてきた、政治、経済、外交、この国の良さを、一人の総理の手で、そして、この戦後体制に恨みを持ちながら総理大臣までたどり着いた安倍総理の手で、この国の良さをぶち壊してはなりません。
 我々は、日本の良さを取り戻す。立憲主義と民主主義を取り戻す。この国の主権を取り戻す。国民の生活に根差した経済政策を取り戻す。真っ当な政治を取り戻す。このために、安倍政権と戦い続けます。

以上、私の反対討論とさせていただきます。
ありがとうございました。
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NHKのニュースでも取り上げていただきました。
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20180228予算反対討論6

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